『AI崩壊』を見た感想、ポストアポカリプスではない
AI、崩壊せず
アマプラに来ていたので「AI崩壊」を見ました。
舞台は2030年の日本。科学者の主人公が作った医療用AI「のぞみ」によって、日本国民は社会インフラを牛耳られ、そのAIが何者かの手によって暴走して重要な命とそうでない命を選択する「命の選別」を始めるというもの。
一体誰が「のぞみ」を暴走させたのか。
暴走させた目的はなんなのか。
果たして主人公は「のぞみ」の暴走を食い止めることができるのか。
そういったパニックSFものを匂わせつつも、日本邦画にありがちなミステリー要素が散りばめられている作品です。
でまぁ、結論から感想を述べますが、つまんないか面白かったかで言えば面白かったです。大沢たかおさんの演技が良かったですし、劇中のプログラミングとか凄くそれっぽいし、CGの技術は高いなーと感じました。
ただし、AIは崩壊してません。タイトル詐欺です。
崩壊してるのは人間でした。
タイトルに釣られた人は多そう
AI崩壊というタイトルに釣られ、映画館に足を運んだ人はいるんじゃないでしょうか。少なくとも私はアマプラで見てみようという気になりました。
というのも、「人類を管理するAIが暴走を始める」というテーマは昔からあるもので、ポストアポカリプスRPGでも有名な「メタルマックス」がソレです。
メタルマックスは、環境汚染を食い止めるために地球の運命を託された人工知能のノアが、「じゃあ人類が一番地球にとって害悪だから人類殺すね」と結論づけて、AIが人間を殺戮しまくった世界を旅するRPGになります。
そんなわけで、「AI崩壊=AIが自主的に人間を殺す」というメタルマックス的なポストアポカリプスを期待していた人にとっては、期待はずれな作品になったのではないでしょうか。
少なくとも、あらすじにはきちんと「AIを暴走させた犯人」と、ちゃんとミステリー的な作風なんだよと制作側から警告はされてるんですけどね。
つまりAIは自主的に人類を殺すのではなく、人類の手によって作為的に殺すマシーンにさせられたんです。AIも被害者ですよこんなん。
そんなわけでAIは崩壊していません。崩壊してるのは人類側の倫理観でしたとさ。
ポストアポカリプスやパニック系SFとして期待している人は、あまり楽しめないと思います。
ゆる~いSFミステリーとして見るのが一番です。
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色々と物足りない
不満点を挙げるとしたら、まずは拭えない駆け足感から。
サスペンスやミステリーで調子に乗った犯人がペラペラと自白し、その結果として優位性を崩してしまうというクソ萎える展開をやりました。黒幕がドヤ顔で語りだしたところで「え……マジで……?もしかして自分が犯人って認めちゃうの……?嘘でしょ……?」と真顔になってしまいましたよ。
しかも犯人側はゴネようと思えばいくらでもゴネられたし、「命の選別」が行われるまで時間が稼げれば主人公側に致命的な打撃を与えられたし、自白したら謎の潔さでなんの抵抗もせずに投降するっていう。
いやいやいやと。待てよと。そんな簡単に諦めてよかったんかい。
お前の信念はどこ行ったの。そんな簡単に諦めちゃうもんなの。プライドはどこに行ったの。
しかし、これは映画が2時間というタイムリミットがあるから仕方ないと割り切るのが一番です。
まぁそれにしても簡単に諦めすぎでしょっていう。
あとミステリー的な要素が薄すぎました。
ネタバレを避けますと、「これもうこいつが犯人だろ」と思っていたら、特にブラフとかも無くて本当にそいつが黒幕でした。
AI「のぞみ」が暴走!
主人公は黒幕に罪をなすりつけられて指名手配犯に!
警察は独自に開発したAIを活用して主人公の会話を盗聴!
この会話の盗聴によって、登場人物全員に「主人公は犯人じゃなくない?」っていう疑惑が周知されたんですけど、それでも警察側は今の会話を聞いていなかったのか、特に追求もなく、頑なに主人公を犯人と断定して追い詰めようとしてて唖然としました。
まずそこでとんでもない違和感だったんですよ。
「え?今の会話って警察側も盗聴してたんだよね?」と、盗聴描写が私の幻覚だったのではないかと、思わず疑ってしまうほどでした。
とまぁ不満点を挙げましたが、最後にもう一度繰り返しますが、つまんないか面白いかの二択で言えば面白かったです。
少なくとも、人工知能が主軸の映画ってあまりないので、挑戦的な作品だったのかなと思います。
みなさんもアマプラに入って見てみましょう!
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