【LoL】世界大会(WCS)の決勝戦が面白かった
栄光を掴んだLCK
3年ぶり。
この数字が何かといえば、大人気オンラインゲームLeague of Legends(以下LoL)の世界大会(WCS)において、韓国リージョン(LCK)が世界一を取り、王座に返り咲くまでにかかった年月です。
去年、一昨年は中国リージョン(LPL)が優勝し、LCKは決勝にすら行けず辛酸をなめさせられました。
LPLの特徴はとにかくアグレッシブ。息つく間を与えず、必ずどこかしらでキルを取るポジションを構えています。攻めて、攻めて、攻めまくること。カスミ理論ですね。
一方、従来のLCKはマップ全体をコントロールし、リスクのある戦闘は避けて、リターンが必ず見込めるときにファイトするという、悪く言えば消極的な、良く言えば将棋や囲碁のような知能戦を得意としていました。
しかし、その知能戦を腕っぷしでぶっ壊したのがLPLです。腰を据えて盤面の駒をちまちま動かしてたら、いきなり顔面をぶん殴られてマウントポジション取られて殴られ続ける。そんな構図がLCK対LPLで見られました。
キルゲーム、キルゲーム、キルゲーム。血で血を洗うようなファイトスタイルが観客の興奮を誘い、日本人でもLPLのファンは多いんじゃないでしょうか。
そして、世界最強となったLPLのメタに合わせて各地域のチームはプレイスタイルの変更を余儀なくされます。あるいは、LPLに真っ向から自分たちのプレイスタイルをぶつけて作戦を敢行させるか。
序盤から定石を崩しに来るLPLに、序盤は安定した動きで、後半のレートゲームから盛り返すようなプレイスタイルだと間に合わないからです。LCKも後れを取らないようLPLの動きを取り入れ、LCKのマクロの高さ、LPLのミクロの高さ、両方のいいとこどりを狙い調整を行ってきました。
昨年は成果が実らず、決勝はおろか、BEST4に出場したLCKチームは一つもないという結果に終わり、過去、幾度となくWCSで輝かしい実績を残してきたリージョンとは思えないほど燦燦たる結果に終わりました。
しかし今年、「まだ俺たちの時代は終わっていない」と叫ぶようにして実力を世界に見せつけたのがLCK代表の「Damwon Gaming(DWG)」。2020 LCK summerを一位通過した、文句なしの実力候補が決勝に上がりました。
対する相手はLPLの「Suning(SN)」。
LPLとLCKは、中国と韓国。地域が近く、WCSで優勝争いを繰り返し、ライバルのような関係にある地域同士の対決です。
SNは2020 LPL Summerにおいて、準決勝で敗退し、三位入賞でWCS出場を決めた、優勝候補とは程遠いチームでした。しかし、いざ蓋を開けてみればLPL1位2位のチームを薙ぎ倒し、ジャイアントキリングにつぐジャイアントキリングで決勝進出。さらにADCのHuan Fengの心を揺さぶられるバックストーリーにより、多くの新規ファンを獲得したチームです。
一方のDWGは「スクリムゴッド」と呼ばれ、練習試合では並みいる強豪チームをボコボコにしていることで有名です。とあるプロプレイヤーが「DWGとスクリムするなら1週間は必要。立ち直るのに時間がかかるから」と愚痴っていたほど。
前評判ではDWGが優勝だろうと言われ、もしかしたらSNがワンチャンひっくり返すのではと、どちらが勝ってもおかしくない決勝戦の火蓋が、切って落とされました。
まどろっこしいので結論から言いましょう。
とにかく興奮しました。
1戦目は静かな立ち上がりから、LCKが得意としているマップコントロールで優位を取れば、SNがLPLお得意のキルゲームをおっぱじめて反撃。しかしDWGもLPLに負けないミクロで逆に圧倒し、ショーメイカーとベリルが八面六臂の大活躍でDWGが1勝。
これでDWGの流れになったかと思えば、2戦目ではSNがトップレーナーのBinを信頼し、スプリットプッシャーのフィオラを持たせて試合をぶち壊させにかかりました。これはSNのジャングラーが、トップをとにかく育たせる戦術からも見られる通り、SNお得意のプレイングです。
狙い通りBinのフィオラは試合をぶっ壊し、特にペンタキルを取った時は、興奮のあまり拳を握って「うおぉっ!!?」と叫んでしまったほどです。
3戦目でも、Binを信頼してスプリットプッシャーのジャックスをピックさせ、トップとジャングラーがオムニストーンという独自のメタで画面の前の我々を沸かせてくれましたが、DWGが早々に4ドレイクを獲得。
シーソーゲームが続く接戦で、SNも負けじとエルダードレイクを獲得。どちらが勝ってもおかしくありませんでしたが、ボットサイドのジャングル内でSNのソードアートが捕まり、DWGはバロンを獲得。そのまま勢いでDWGの勝利になります。
ここまで接戦に次ぐ接戦でしたが、4戦目。プツンと糸が切れたようにSNは負けてしまいました。それも接戦ではなく、DWGに一方的にやられ続けたのです。
まぁ無理もないと思います。
そもそもこのチームはLPLで三位のチーム。全員が決勝の舞台に立つプレイヤーが初めてなのです(多分)。さらにホーム中国での開催。LPL優勝候補を薙ぎ倒すシンデレラストーリー。とてつもないプレッシャーが肩に乗っていたことでしょう。
優勝はDWGで終わり、LCKリージョンが、そしてスクリムゴッドが名ばかりではないことを我々に知らしめてくれました。
一方のSNも、決勝戦に至るまで、常に熱狂的な試合を我々に見せてくれたことも忘れてはなりません。
終わってみれば、両チームには我々に血沸き肉躍るエンターテイメントを提供してくれて、感謝の念しかありません。素晴らしい試合をありがとうございました。
以上、WCSの決勝戦がとてつもなく面白かったという話でした。はい終わり。